山梨県内の建設業における労働災害防止対策は、平成24年からの4年連続の災害増加を契機として、平成28年度から「山梨県建設業ゼロ災宣言運動」を新たに展開し、9年間にわたり継続してきたところである。この間、休業4日以上の死傷災害件数は令和2年に95人、令和3年には96人と2年続けて100人を下回ったものの、令和4年に112人、令和5年に107人と増加に転じた。しかしながら、令和6年は令和7年2月末現在の未確定値であるが、87人と減少傾向にあり、特に死亡災害については、県内において統計を取り始めて以来初の死亡災害「ゼロ」を達成し、この運動の取組が反映された結果となった。
死傷災害の減少はもちろん、死亡災害の撲滅に向けては令和5年度から展開されている「山梨第14次労働災害防止計画」の確実な実施とともに、その目標値を達成するためには、発注者等の関係行政機関と、元請事業者及び下請事業者等、現場で働く労働者らの全ての関係者が一体となったより一層の積極的な取組が求められている。
また、山梨県が発注する建設工事に際しては、令和7年度の入札参加資格審査に本宣言への取組を「主観評価項目」としているところであり、発注者からの期待も大きい。
これらの状況を踏まえ、令和7年度においては、死亡災害「ゼロ」の撲滅、更なる死傷災害の減少のため、以下のとおり、「山梨県建設業 ゼロ災宣言運動 2025」に取り組むものとする。
建設業労働災害防止協会山梨県支部
山梨労働局、甲府・都留・鰍沢労働基準監督署
一般社団法人 山梨県建設業協会
一般社団法人 山梨県建設産業団体連合会
1 ゼロ災宣言 | |||||||
各企業・現場において、令和8年3月末日までの期間の災害件数の0(ゼロ)を達成すべく、各企業とも代表者によるゼロ災宣言を行い、社内及び現場において広く周知するとともに安全衛生管理活動を更に強化する。 ゼロ災宣言の強化する取組は3項目とし、「墜落・転落災害」の防止に関するリスクアセスメントの樹立(再検討)は必ず取り組みに入れ、別紙1〜3のとおりとする。 |
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2 ゼロ災宣言期間内における重点取組事項 | |||||||
(1) | 行政における実施事項 | ||||||
ア | 「山梨県建設業 ゼロ災宣言運動 2025」の周知・広報 | ||||||
イ | 現場に対する監督指導等の強化 | ||||||
ウ | 建災防各分会の取組に対する協力 | ||||||
(2) | 建災防山梨県支部・分会における実施事項(集会宣言の例は別紙4のとおり。) | ||||||
ア | 各分会・会員に対する周知・啓発(組織としての宣言を含む。) | ||||||
イ | 各分会・会員の安全活動に対する指導 | ||||||
ウ | 「ゼロ災宣言運動」取組の外部への周知・広報(支部) | ||||||
エ | 「ゼロ災宣言運動」実施企業の集約及びHPでの取組の公表(公表に当たっては、企業の取組強化事項3項目も掲載する。)(支部) | ||||||
オ | 定期的なパトロールの実施 | ||||||
カ | 建災防方式「新ヒヤリハット報告」を進化させた「建災防山梨県支部方式」による情報収集とKY活動への活用の周知と山梨県支部方式グッドリカバリー健康KYの周知(支部) | ||||||
(3) | 企業における実施事項 | ||||||
ア | 店社における取組事項 | ||||||
(ア) | 「墜落・転落災害」の防止に関するリスクアセスメントの樹立(再検討) | ||||||
(イ) | 「ゼロ災宣言運動」の店社事務所内掲示及び現場掲示板への掲示の徹底 | ||||||
(ウ) | 経営首脳陣による定期的な現場パトロールの実施 | ||||||
(エ) | 現場代理人、管理者等に対する安全管理研修(講習)の実施 | ||||||
(オ) | 現場での安全管理活動への積極的支援 | ||||||
(カ) | 「新ヒヤリハット報告」の活用と情報収集及び報告 | ||||||
イ | 現場における取組事項 | ||||||
(ア) | 元請事業者による統括管理の徹底 | ||||||
@ | 元請店社「ゼロ災宣言」(別紙1)の掲示 | ||||||
A | 現場ごとの「ゼロ災宣言」(別紙2)及び掲示(作業所用) | ||||||
B | 下請け企業による「ゼロ災宣言」(別紙2)及び掲示(作業所用) | ||||||
C | 現場における「墜落・転落災害」の防止に関するリスクアセスメントの実施 | ||||||
D | 作業間の連絡及び調整 | ||||||
E | 作業場所の巡視及び改善等 | ||||||
F | 持込機械等の把握、点検・補修 | ||||||
G | 新規入場者教育の実施 | ||||||
H | 現場における4S活動の徹底 | ||||||
I | 不安全行動を「しない」、「させない」、「(指導において)妥協しない」の徹底 | ||||||
J | 「グッドリカバリー健康KY」によるKY活動の効果的な実施 | ||||||
(イ) | 墜落・転落災害等具体的な労働災害防止対策の徹底 | ||||||
@ | 墜落・転落災害の防止関係 | ||||||
足場の墜落防止、脚立作業の安全化、仮設通路の安全 | |||||||
A | 丸のこ等機械工具災害の防止 | ||||||
機械の点検、安全装置の補修等 | |||||||
B | 重機等災害関係 | ||||||
機械の点検、無資格就業の厳禁、接触防止、転倒等防止措置等 | |||||||
C | 転倒災害 | ||||||
4Sの徹底、現場環境の整備 | |||||||
D | 障害木伐倒に係る安全の確保 | ||||||
資格者による作業の徹底、周辺の確認等 | |||||||
(ウ) | 安全教育の徹底 | ||||||
@ | 現場作業員に対する安全衛生教育 | ||||||
安全作業の徹底、不安全行動の防止 | |||||||
A | 職長等責任者に対する安全衛生教育 | ||||||
安全衛生法の確実な理解、災害防止対策措置、職長の安全管理等 | |||||||
(4) | ゼロ災宣言に係る留意事項 | ||||||
企業におけるゼロ災宣言の「強化する取組」項目は、これまでの企業の実情、課題等を勘案し、毎年度始めに「墜落・転落災害」の防止に関するリスクアセスメントの樹立(再検討)を含め3項目程度を決定する。 また、現場におけるゼロ災宣言の「強化する取組」項目は、現場開始時の現場の体制、工事内容、課題等を勘案し、3項目程度を決定する。 なお、取組強化項目は、現場の進捗により変更することも可能である。 |
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(5) | 作業者の取組事項(作業者自ら実施する事項) | ||||||
ア | 作業者が自ら取組事項を一つ決め必ず守る「私のゼロ災宣言」の実施 | ||||||
イ | 取組事項をステッカー等に記載し、保護帽の見える箇所に貼り付ける | ||||||
※ | (5)については、作業者の取組事項は、現場に従事するすべての作業者を対象とし、現場ごとに取組事項を変更することも可能とする。 | ||||||
3 実施時期 | |||||||
(1) | 会員企業・団体への周知・取組要請(支部等から):4月上旬 | ||||||
(2) | 建災防支部・分会組織としての宣言:4月〜6月(総会・安全大会等) | ||||||
(3) | 会員企業における宣言:4月〜6月(各現場については工事開始時) | ||||||
(4) | 宣言後の各種取組:通年 | ||||||
4 報告等 | |||||||
建災防山梨県支部長は、各企業(会員等)における本運動への取組状況及び、第一目標である「墜落・転落事故」の防止に関するリスクアセスメントの樹立(再検討)」の達成状況を令和7年10月末(中間報告)、令和8年3月末(最終報告)までに別紙5により山梨労働局長あて報告すること。 | |||||||
5 その他(補足事項) ※ 建災防からの希望事項(別紙6) | |||||||
「私のゼロ災宣言」の実施については、取組事項の例を10程度挙げ、参考にしてもらうとともに、その中から選ぶことも可能とする。なお、ステッカー色は年度ごとに変更することとする。 | |||||||